いらんおまけ


「魔理沙、霊夢。貴方たちには関係の深いことだから、よく聞いて。とある神具が暴走したの」
 ある日の夕方、常になく緊張した面持ちで八雲・紫が隙間から現れた。
 突如現れた紫に、魔理沙は困惑した表情で、そして霊夢は眉をひそめる。
 一番の原因は紫の肩につけられた大きな傷。
「どうしたんだ?」
「何か異変が起きたの?」
 二人の問いに紫は頷き、何か迷うようにして一つの単語を、吐き出す。
「幻想郷の、最悪の危機よ」


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「くっ! 貴方、何を!」
「悪いが……。僕のために君にはやられてもらう」
 その白く青い青年の振る刃が、吸血鬼レミリア・スカーレットに迫り、そして。
「僕の、望みのためにね」
 最後まで振られる。


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「切欠は些細なことだったのよ。何の前触れもなかったわ。私も、まさかああなるなんて予想もしていなかったぐらいね」


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「あら? 私たちの邪魔をするというの?」
「……焼かれたくないならさっさとどこかに行くといい」
 竹林に居た二人に青年が近寄り、二人の少女は怪訝そうな顔になる。
「うるさいのは嫌いなんだ。僕は」
 少女たちは青年から発せられる威圧感に気づき、目を合わせてそれぞれ戦闘態勢を取る。
 長年、殺しあってきた中だからこそあわせられる呼吸で。
 だが。
「王権に俗さない竹林でも、大地と雨には敵わないだろう?」
 青年が、駆けた。
 



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「彼のために神具は暴走するわ。彼の望むことを暴力で片付けるために」
「どういうことなのか説明しろよ」
「それだけじゃわからないわよ」
「……彼、森近・霖之助さんがもっていた剣が、暴走したの」



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「鬼といえども、妖怪じゃ僕には敵わないだろう」
 その場に倒れ付す少女、萃香に向かい青年は語りかける。
 苦悶の表情で倒れ付す萃香は、歯が砕けるのではないかという程に唇をかみ締めていた。
「その剣は……」
「そう、草薙だ」



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「妖怪であれに勝つのは難しいわ。だから、お願い」



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「妖夢はどうしたのかしら?」
 咲かない桜が不動で存在する死の世界で、幽々子は冷たい表情になり問い。
 だが青年は興味なさげに言葉を返す。
「剣士として未熟だったというだけの話だよ」
「そう……。なら可愛い従者の仇をとる必要があるわね」
 幽々子の周囲に幻想的な蝶が舞い始めるのを青年は薄い笑顔になって見据える。
「これは面白い戦いができそうだ」



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「彼を、あの人を」

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「軍神はさすがに強かったけれど君はどうなのかな?」
 蛙のような帽子を被った少女に青年が剣の切っ先を向けて問えば、その少女は青年の後ろに倒れている二人を見て、青年をにらみつける。
「私の家族を傷つけた罰は重いよ?」
「なら、その罰を受けさせてみるといい」


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「わかった。なら、私らが止めるのが筋ってもんだな」
「そうね……。異変なんだから、解決しないといけないわ」



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「罰を受けなさい。審判「浄頗梨審判――」
「地獄の裁判長とはいえ、遅いね」
「くっ」
 少女の言葉をさえぎって青年は一瞬で間を詰め。
「僕が続きを言おう。判決、四季映姫。罪状は弱さ――」



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「……ここに来るのは、最後か?」
「オオトリなら待ってた甲斐があるというものだわ」
 神社に立つ二人の前に、青年は立つ。
 表情はまるで聞き分けのない子供を説き伏せる時のようなもので。
「今の僕に敵うと思ってるのかな?」
「やってみせるぜ。お前を、香霖を止めるのは私の役割だからな!」
「悪いけど退治させてもらうわ、霖之助さん」
 最後の戦いが、今始まる。



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「なんてものを想像してみたんだけどどうかしら?」
「……紫さん。そんな事をしても僕が最初の時点でやられてしまうだろう」
「あらそうかしら。そこに草薙を使えばそんな事もありえてしまうのではなくて?」
「そもそも草薙は暴走しないと思いますけれど?」
「あら境界を弄ればそうなるかもしませんわ」
「可能性だけで何かを言ってほしくないね」





いらんおまけに!



最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…!
マ「ウォォォォォ! くらえチルノ! 新必殺ノンディレクショナルダブルマスタースパーク!」
H「サイキョーのアタイはそう簡単にはやられないわ!」
(ジュッ)
H「こ、このまるきゅーを獲得したバカルテットのチルノが…こんな白黒にぃぃ」
(ドドドドド)
H「ピチューン」
リ「チルノがやられたみたいだね」
ル「そーなのかー」
ミ「ちんちん!」
マ「マスタースパーク!」
(ジュッ)
3人「ピチューン」
マ「やったぜ。バカルテットを倒した。これで香霖のいる香霖堂までいける!」
森「よく来たね魔理沙。待っていたよ」
(ギィィ)
マ「こ、こが香霖堂だったのか! 感じるぜ。香霖堂の寂れた気配を!」
森「魔理沙。戦う前に一つ言っておくことがある。君は僕を倒すのに『メガネ』が必要だと思っているみたいだけど別になくても倒せる」
マ「な、何だってーー!?」
森「そして霊夢は僕をぼこぼこにして勝手に帰った」
(ゴゴゴゴ)
マ「上等だぜ! ……私も一つ言っておくことがある。私は閉じ込められた妹様に会いに行く予定だった気がしてたけど別にそんなことはなかったぜ!」
森「それは行ってあげた方がいいと思うよ」
マ「……うぉぉー! いくぞぉぉ!」
森「盗れるものなら盗ってみるといいさ!」
香霖のお仕置きが魔理沙を感心させると信じて…! ご愛読ありがとうございました!





いらんおまけさん!


「……森近・霖之助……」
「……僕は、君の気持ちには応えられない」
「何故だ! あの時はあんなにも優しくしたというのに!」
「昔の話しだよ。あの時の君は寄る辺を無くして打ちひしがれていた。それだけの話しさ」
「酷い、酷い人だ貴方は。私から剣を奪い、そして心まで奪ったというのに」
「……そうだ。けれど、それだけなんだよ」
「あの時いった気持ちは嘘だったというのか!」
「あの時は本当だった。それだけの話しさ」
「……ならば、ここで、斬る」
「君に斬られるのならばそれも本望だよ」
「貴方は……貴方という人は、そうしていつも私を惑わすッ。貴方のためにあの屋敷を出たというのに」
「大切な人を捨てるような人間は、嫌いなんだ。僕は」
「……では、最後に。最後に抱きしめても、いいだろうか?」
「それぐらいなら、いいさ」
(ぎゅ)
「……私の名前を最後に、言ってくれないだろうか。口付けと共に」
「…………わかった。魂魄……」
「ん……」
「……妖忌」
「……霖之助殿……」



「なんて話しを思い浮かべたんだが」
「魔理沙。君のために一つ言おう。君はチルノに頭を冷やされた方がいい」
「というかおじい様をそんな人にしないでください!」



END


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